化粧品を選ぶときに、何を基準にしていますか?
「価格?効果?香り?」… もちろん、重要な要素です!
しかし、化粧品を選ぶ際に、もうひとつ、重要なポイントがあります。それは、安全性です。
化粧品は、肌に直接塗布する製品です。そのため、肌に悪影響を及ぼす成分が含まれていないことが、とても重要です。 その中でも、特に注意したいのが、「防腐剤」です。
防腐剤は、化粧品に含まれる微生物の増殖を抑制し、腐敗を防ぐために配合されています。しかし、防腐剤の中には、アレルギーや肌トラブルを引き起こす可能性があるものもあります。
そこで、ここでは、化粧品における防腐剤の役割や種類、安全性について、わかりやすく解説します。 化粧品選びの際に、ぜひ役立ててください。
化粧品における防腐剤とは?
化粧品は、肌の保湿や美白、エイジングケアなど、さまざまな目的で使用されています。しかし、化粧品は水分や油脂が多く含まれているため、細菌やカビなどの微生物が繁殖しやすい環境です。そのため、化粧品には防腐剤が配合されています。
防腐剤一言で言えば…「化粧品の腐敗を防ぐ成分」。
防腐剤とは、微生物の増殖を抑制し、製品が腐敗しないようにするために用いられる成分のことをいいます。化粧品において防腐剤として配合できるのは、配合制限成分リスト(ポジティブリスト)に収載されている成分に限定されています。
参考:化粧品に配合可能な防腐剤リスト(ポジティブリスト)|化粧品成分オンライン
防腐剤の種類
化粧品に配合される防腐剤には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 抗菌剤
抗菌剤は、細菌の増殖を抑制する成分です。パラベン、フェノキシエタノール、イソプロパノールなどが代表的な抗菌剤です。
あ - 抗真菌剤
抗真菌剤は、カビの増殖を抑制する成分です。安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸などが代表的な抗真菌剤です。
あ - 抗菌・抗真菌剤
抗菌・抗真菌剤は、細菌とカビの両方の増殖を抑制する成分です。ベンザルコニウム塩化物、クロルヘキシジングルコン酸などが代表的な抗菌・抗真菌剤です。
防腐剤の作用
防腐剤は、化粧品の中に侵入してくる微生物(バクテリアやカビなど)に対抗して、ゆっくり時間をかけてその数を減らし、最終的には微生物たちが増えなくなるようにすることで、化粧品を守る役割を果たします。これは、防御的な静菌作用と呼ばれています。要するに、防腐剤は微生物が化粧品を壊さないようにする「盾」のようなものなのです。
防腐剤は、微生物を瞬時に殺す殺菌剤のような攻撃的な作用や、皮膚の上で急速に微生物を減らす効果は持っていません。むしろ、微生物の増殖を遅らせることで、長い間安全に化粧品を使えるようにしているのです。
防腐剤のなぜ必要?
化粧品には、細菌やカビの成長を防ぐ「防腐剤」という特別な成分が含まれています。この防腐剤がない場合、化粧品は時間が経つと細菌やカビが繁殖してしまい、それが原因で化粧品が腐敗し、肌に悪影響を及ぼすことがあります。また、一度化粧品を開封した後、容器や手指に雑菌がついてしまうこともあるので、それらが混入して腐敗する可能性も高まります。
だから、化粧品には防腐剤が必ず含まれているのです。これによって、化粧品は長い間安全に使えるようになり、肌に問題を起こす心配が少なくなります。
化粧品によく用いられる防腐剤の代表的なもの
防腐剤には、さまざまな種類があります。その中で、化粧品によく用いられる防腐剤の代表的なものを以下に掲載します。
- パラベン類
安価で効果が高く、最も多く用いられる防腐剤のひとつです。
あ - フェノキシエタノール
アルコール系の防腐剤で、刺激性が少ないのが特徴です。
あ - サリチル酸系
抗菌作用や抗炎症作用があり、ニキビや吹き出物などの肌トラブルの予防に効果的です。 あ - クエン酸系
酸性度を調整する目的でも用いられる防腐剤です。
あ - 塩化ベンザルコニウム
殺菌作用が強く、手指消毒剤などに用いられる防腐剤です。
化粧品に配合される防腐剤の配合量
化粧品に配合される防腐剤の配合量は、化粧品の種類や使用目的によって異なります。また、防腐剤の種類によっても、適切な配合量は異なります。
一般的には、パラベン類やフェノキシエタノールなどの防腐剤は、100gあたり0.01〜0.3%程度の配合量で使用されています。
防腐剤 | 配合量の目安(100gあたり) |
---|---|
パラベン類 | 0.01〜0.3% |
フェノキシエタノール | 0.01〜0.2% |
サリチル酸系 | 0.1〜1.0% |
クエン酸系 | 0.1〜1.0% |
塩化ベンザルコニウム | 0.01〜0.1% |
化粧品に配合される防腐剤は、厚生労働省の定める「化粧品基準」に基づいて、安全性が確認されたものだけが使用されています。
防腐剤の安全性
防腐剤は、使用量や配合方法を守って使用すれば、安全に使用することができます。化粧品に配合される防腐剤は、厚生労働省の定める「化粧品基準」に基づいて、安全性が確認されたものだけが使用されています。
それでも、中には肌にかゆみやかぶれなどの問題を引き起こすことがある防腐剤もあります。そのため、成分表示をよく確認して選ぶようにしましょう。
防腐剤に不安がある場合は、防腐剤フリーの化粧品を選ぶのもひとつの方法です。
パラベンの安全性
パラベンとは、パラオキシ安息香酸エステルの総称で、化粧品や食品、医薬品などに広く使用されている防腐剤です。 パラベンには、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンの4種類があり、それぞれに特徴があります。
- メチルパラベン:最も多く使用されているパラベンで、殺菌・静菌作用が強い
- エチルパラベン:メチルパラベンとほぼ同等の作用を持つ
- プロピルパラベン:メチルパラベンやエチルパラベンよりも刺激性が少ない
- ブチルパラベン:殺菌作用が最も強い
パラベンの安全性は、厚生労働省の定める「化粧品基準」に基づいて、安全性が確認されたものだけが使用されています。 しかし、パラベンは、アレルギーやホルモンかく乱作用の可能性があるとして、近年、安全性が心配されています。
パラベンにアレルギーを持つ人は、パラベンを含む化粧品を使用することで、赤みやかゆみなどの症状が現れることがあります。 ホルモンかく乱作用については、パラベンが体内に取り込まれると、ホルモンの働きを乱す可能性があるという研究結果が報告されています。
ただし、パラベンによるアレルギーやホルモンかく乱作用の可能性は、あくまでも可能性であり、科学的に証明されているわけではありません。
パラベンの代替成分
パラベンの代替として、以下のような成分が使用されています。
- フェノキシエタノール
あ
アルコール系の防腐剤で、刺激性が少なく、パラベンよりもアレルギーのリスクが低いとされています。
あ - サリチル酸系
あ
殺菌・抗炎症作用があり、ニキビや吹き出物などの肌トラブルの予防に効果的です。
あ - クエン酸系
あ
酸性度を調整する目的でも用いられる防腐剤です。
あ - 塩化ベンザルコニウム
あ
殺菌作用が強く、手指消毒剤などに用いられる防腐剤です。
これらの成分は、それぞれに特徴があり、化粧品の種類や使用目的に合わせて、適切な成分が選択されます。
目や口に入る化粧品には、刺激性の少ないフェノキシエタノールが使用されることが多く、ニキビや吹き出物などの肌トラブルを予防したい場合は、サリチル酸系が配合された化粧品を選ぶとよいでしょう。
防腐剤フリーの化粧品を選ぶメリット
最近では、防腐剤を使わない化粧品もでてきています。
防腐剤フリーの化粧品は、防腐剤を使わないため、アレルギーや肌のかゆみのリスクが低いというメリットがあります。しかし、防腐剤フリーの化粧品は、開封後はすぐに使ったり、使用後はすぐに蓋を閉めるなど、清潔に取り扱うことが大切です。
また、防腐剤フリーの化粧品は、防腐剤入りの化粧品に比べて、保存期間が短い場合が多いです。
パラベンフリー化粧品を選ぶ際には、成分表をチェックし、パラベン以外の防腐剤が配合されていないかを確認しましょう。また、パラベンの代わりに配合されている防腐剤の種類や特徴についても、理解しておくとよいでしょう。
天然防腐剤化粧品が注目されています!
天然防腐剤化粧品は、パラベンやフェノキシエタノールなどの合成防腐剤に比べて、刺激性が少なく、肌への負担が少ないことが特徴です。また、アレルギーやホルモンかく乱作用のリスクが低いと考えられており、注目されてます。
天然防腐剤としてよく使用されているのは、
- グレープフルーツ種子エキス
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グレープフルーツの種子から抽出される天然防腐剤です。殺菌作用や抗菌作用があり、化粧水や乳液などの水溶性化粧品に配合されています。
あ - ゆず種子エキス
あ
ゆずの種子から抽出される天然防腐剤です。グレープフルーツ種子エキスと同様に、殺菌作用や抗菌作用があります。
あ - レウコノストック/ダイコン根発酵液
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ダイコンの根から発酵させて得られる天然防腐剤です。殺菌作用や抗菌作用、保湿作用があります。
あ - ビタミンE
あ
ビタミンEは、油溶性ビタミンの一種です。酸化防止作用があり、化粧品に配合することで、酸化による品質劣化を防ぐ効果があります。
あ - ローズマリーエキス
あ
ローズマリーの葉から抽出される天然防腐剤です。殺菌作用や抗菌作用があり、化粧水や乳液などの水溶性化粧品に配合されています。
肌へのダメージが少ないですが、パラベンやフェノキシエタノールなどの合成防腐剤に比べて、効果が劣る、合成防腐剤に比べて殺菌・抗菌作用が弱いため、保存期間が短い場合もあります。また、やや価格帯が高い場合もあります。
天然防腐剤化粧品は、パラベンやフェノキシエタノールの使用を避けたい方や、肌への負担を減らしたい方におすすめです。
防腐剤で肌トラブルを防ぐには?
- 防腐剤の種類や安全性を確認する
あ
防腐剤には、さまざまな種類(化粧品によく用いられる防腐剤の代表的なもの)があり、その安全性には差があります。パラベン類は、最も多く使用されている防腐剤のひとつですが、アレルギーやホルモンかく乱作用の可能性があるとして、使用を避ける人が増えています。
あ
また、防腐剤フリーの化粧品を選ぶこともひとつの方法です。しかし、防腐剤フリーの化粧品は、開封後はなるべく早く使い切るようにしましょう。
あ
あ - 化粧品は、清潔な手で使う
あ
化粧品をつける前に、手をよく洗いましょう。汚れた手を使うと、微生物が化粧品にうつる可能性があります。
あ
あ - 化粧品は、適切な保存方法で保管する
あ
化粧品は、日光や高温の場所から遠ざけて保存しましょう。化粧品を開けると、中に微生物が入るかもしれません。適切な保存方法で新鮮さを保ちましょう。保存方法が適切でない場合、防腐剤の効果が低下して、微生物の増殖を抑えることができなくなる可能性があります。
あ
あ - 使用期限を守りましょう
あ
使用期限が過ぎた化粧品は、防腐剤の効果が低下している可能性があるため、使用を避けたほうがよいでしょう。化粧品は、使用期限を守って使用するようにしましょう。
もし、防腐剤による肌トラブルが気になる場合は、パッチテストを行うことをおすすめします。
まとめ
化粧品に防腐剤が配合されているのは、化粧品が腐敗して肌に悪影響を及ぼすことを防ぐためです。防腐剤は、使用量や配合方法を守って使用すれば、安全に使用することができます。ただし、一部の防腐剤は、アレルギーや肌刺激などの副作用を引き起こす可能性があるため、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。